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糖尿病の合併症

糖尿病を治療せず、長い間放置しておくと糖尿病の合併症が起こることがあります。(合併症とは、あるひとつの病気がもとで発症することがある違う病気のことです。)
今回は、糖尿病を原因として他の病気を発症する可能性のお話です。

糖尿病の合併症ってどんなものがあるの?



糖尿病のかかりはじめは無症状で進行するため、十年近く糖尿病と気づかずに過ごしている場合が多く見られます。血糖値が高い状態が続くと、全身の血管壁にかなり負担をかけることになります。その結果、腎臓の障害や目の障害、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞など、さまざまな器官に重大な合併症が生じてしまうことがあります。


糖尿病を治療する上で最も重要な課題は、合併症の発症や進行の阻止であり、 そのためには血糖値を正常にコントロールすることが不可欠です。


一般的に、糖尿病や高血糖症の人は、高血圧症になる可能性が高いと言われています。
さらに糖尿病や高血圧は無症状のまま進行し、さまざまな合併症を引き起こします。日本人の死因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞などの病気も、糖尿病や高血圧が影響しあって動脈硬化が進行した結果として発症することがあり、高血圧により糖尿病性腎症が急速に進んでしまうこともあるのです。

「高血圧治療ガイドライン2009」においても、血圧がやや高めだが高血圧の基準に達しない「正常高値」の人でも、糖尿病など他の危険因子があれば心血管障害の発症リスクが高くなることから、高血圧患者と同様に積極的な治療が必要、としています。
つまり、末永く元気に生活するには、血糖値とともに血圧をコントロールできるか否かにかかっているといっても過言ではないのです。



糖尿病ってどんな症状なの?

糖尿病神経障害糖尿病網膜症糖尿病腎症を糖尿病三大合併症と呼びます。
糖尿病で治療中の患者さんなら検査結果でいつも気にしていることと思いますが、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値が6.5%以上だと、合併症を発症しやすくなります。
これらの糖尿病三大合併症は糖尿病に特有の合併症で、血糖コントロールをせずに放置していると、糖尿病発症時から10~15年で発症する可能性があると言われています。


糖尿病の三大合併症その1

糖尿病神経障害

三大合併症のうち最初に現れるのが、糖尿病性神経障害です。


糖尿病性神経障害■糖尿病性神経障害の種類や症状とは
手足のしびれや痛み、感覚の麻痺、立ちくらみ、下痢や便秘を繰り返す、筋萎縮症、味覚障害、発汗異常、尿が勢いよくでない、勃起障害(ED)など、実にさまざまな形で全身にあらわれます。最も多いのが末梢神経障害で、両手足にしびれが出て、怪我や火傷などの痛みに気づかず膿んでしまうこともあります。
脳神経障害では、物が二重に見えたり(複視)、顔の半分が麻痺したりします。脳梗塞で手足が麻痺することもあります。


また、腎症や網膜症が自覚症状のないまま5~10年と経過し、かなり悪化してから気づくことが多いのに比べて、神経障害は手足のしびれなどの自覚症状がごく初期の段階からあらわれてきます。また、腎症や網膜症は、人工透析や失明につながる重大な合併症ですが、神経障害も放置すると服の脱ぎ着ができないほどの激痛が出るようになったり、逆に神経が麻痺て足の壊疽や突然死の原因にもなる可能性があります。しびれや痛みなどのサインを軽い症状だと見逃して放置してしまうと、大変なことになります。


■神経障害の改善方法とは
神経障害は、初期に血糖を厳格にコントロールすることで改善する可能性が高く、早期発見により、糖尿病の治療に関する心構えも変わってきます。
症状がないうちに早めに気づけるよう、日頃から血糖値やHBA1c(ヘモグロビンA1c)の値をチェックしておくことをおすすめします。

糖尿病の三大合併症その2

糖尿病網膜症

日本の成人の失明原因第1位が、糖尿病網膜症によるものです。


糖尿病網膜症■網膜とは
光や色を感じる神経細胞や無数の細かい血管が張り巡らされている、眼底にある薄い神経の膜のことで、ものを見るために重要な役割をしています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、つまったり変形したりします。血管がつまると網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を作って酸素不足を補おうとしますが、その新生血管はもろいために容易に出血を起こします。また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張り、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。


■糖尿病網膜症の治療
(1) 網膜光凝固術
網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防したり、既に出来てしまった新生血管を減らしたりすることを目的として行うレーザー手術で、通常は通院で行います。この治療は、網膜症の悪化を防ぐための治療であり、元の状態に戻すための治療ではありません。また、多くの場合、治療後の視力は変わらない、もしくは低下することもあります。網膜光凝固術は早期であればかなり有効で、失明予防のためにとても大切な治療と言われています。

(2) 硝子体手術
既に網膜症が進んで網膜剥離や硝子体出血が起きている場合や、レーザー治療で網膜症の進行を予防できなかった場合などに行われる治療で、高度なレベルの手術になります。眼球に穴をあけて細い器具を挿入し、剥離した網膜を元に戻したり、出血を取り除いたりします。


■油断禁物!
糖尿病網膜症は、糖尿病になってから数年~10年以上経過した頃に発症すると言われていますが、かなり進行するまで自覚症状がない場合もあります。
「まだ見えるから自分は大丈夫!」と思っている人はませんか?自己判断は禁物です。糖尿病の人は目の症状がなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしましょう。

糖尿病の三大合併症その3

糖尿病腎症

糖尿病腎症とは、糖尿病によって腎臓にある糸球体の細小血管が狭くなり、十分に老廃物をろ過できなくなるために起こる病気です。


糖尿病腎症■腎臓とは
糸球体とよばれる細小血管塊が集まった組織で、血液が運んできた体内の老化物をろ過し、尿として排泄する重要な機能をもっています。腎症が進むにつれ、尿をつくる機能が低下し、最後には人工透析(機械で血液の不要な成分をろ過して尿を作る)療法を受けざるを得なくなります。


糖尿病が原因で透析療法を受ける人が、近年増加傾向にあります。透析患者の約4割強が糖尿病性腎症によるものと言われ、透析導入原因のトップを占めていますが、糖尿病が原因の透析患者のその後の経過は、その他の病気による透析患者に比べると、必ずしもよいとはいえないのが実情です。


■細小血管症とは
高血糖状態が続き、細小血管に何らかの障害を引き起こすことを細小血管症と呼びます。糖尿病の三大合併症は、ずべて細小血管症によるものとされています。糖尿病腎症の場合、高血糖、肥満、高食塩、高たんぱく、ストレスなどにより、病状の進行が悪化することがあると言われています。


糖尿病性腎症は自覚症状のないまま進行し、尿検査で陽性反応が出たり、むくみなどの自覚症状が出たときには、かなり病状が進んでいることが多いため、糖尿病腎症はできるだけ早期に発見が重要です。


■糖尿病性腎症の最大の原因は高血糖
腎症を予防するために大切なことは、血糖コントロールを良好に保つことです。
腎臓は特に病気をしなくても、加齢により機能が低下していきますが、普段の食生活(食べ過ぎ、塩分の摂り過ぎ、高タンパク食)が腎機能低下に影響することも知られています。バランスのよい食事をきちんととっていれば予防できるのです。太り過ぎ、塩分の摂り過ぎ、肉食の人は、食生活を見直しましょう!


また、50歳を過ぎると、女性より男性の方が腎機能の低下が強く見られると言われています。男性の方が腎障害にかかりやすい傾向にあるとも言えます。さらに、家族に腎症の人がいる人は、遺伝、環境、食習慣などの理由で、腎症にかかるリスクが高い傾向があるので、気をつけましょう。


自覚症状がなくても、定期的に検査を受け、血糖コントロールを良好に保ち、塩分たんぱく質の摂り過ぎに注意した食事にするなど、腎臓にやさしい生活をすることが、糖尿病腎症を予防するためにとても重要です。


糖尿病による合併症の疑いがある場合、何科で診療してもらうべき?

糖尿病神経障害

高血糖が見つかったら、3つの方法で神経障害の有無を確認します。

  1. 患者に立て膝をしてもらって足首の裏をポンとたたくアキレス腱反射
  2. 音叉を胸やくるぶしに当てて振動の感じ方をみる振動覚検査
  3. 足指などに細いフィラメントをあて感覚の鈍麻の程度をみる触覚検査
    神経障害が出ていると、アキレス腱反射は無くなり、末梢である足の振動覚は中枢に近い胸よりも低下していることが見られます。

診療科:神経内科、糖尿病・内分泌内科など


糖尿病網膜症

糖尿病内科で眼底写真を撮り写真では大丈夫でも、網膜出血が隠れていたという事もあります。(眼底写真は、眼底のごく限られた部分の写真を撮っているにすぎません。)糖尿病と診断されたら早く眼科で精密検査を受けて下さい。また、 指示された間隔で定期検査を受けていて下さい。

※糖尿病に罹患してる場合は定期的な眼底検査が望まれます。日本糖尿病眼学会は定期的眼科通院を促すため、糖尿病眼手帳を配布しています。

診療科:眼科


糖尿病腎症

糖尿病腎症の診断には、尿検査(尿アルブミン排泄量と尿蛋白)および、血液検査(クレアチニン値)の測定を行います。
糖尿病腎症は発症してもかなり進行するまで自覚症状はありませんので、早期に検査を受ける事が重要です。
糖尿病と診断されているが糖尿病腎症に関して何も聞いたこともない、また、糖尿病腎症と診断されているが適切な治療を受けているのか、など疑問をお持ちの方は受診してみはいかがでしょう。
早期の糖尿病腎症であれば進行するよりもよくなることが多く、末期腎不全となって透析療法に入ったり腎移植を受けたりする必要がなくなります。

診療科:内分泌代謝科、腎臓・高血圧内科、腎臓・内分泌内科など






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